庄原市総領町と三次市の三良坂町・吉舎町にまたがる灰塚ダムは、平成19年(2007年)に完成しました。
自然環境や地域の暮らしに大きな影響をもたらすダム建設に対し、地元住民・芸術家・行政がともに歩み寄り、文化と自然の新たな関係を模索した取り組みが「灰塚アースワーク・プロジェクト」です。
1994年から約9年にわたり、地域の地形や歴史、記憶と向き合いながら、アートが土地そのものと応答するかたちでプロジェクトが展開されました。なかでも注目されるのが、造形作家・岡崎乾二郎氏がランドスケープデザインを手がけた《なかつくに公園》と《ひまわり公園》です。自然の中に作品を配置するのではなく、空間そのものが作品として立ち上がるような繊細で開かれた場。訪れる人の身体感覚や視点を刺激しながら、風景とアートのあいだに豊かな関係が立ち現れます。
「OMOYA総領」では、岡崎氏の大型作品集『視覚のカイソウ』および『頭のうえを何かが Ones Passed Over Head』(「なかつくにリュケイオン」ディレクター・矢吹正直氏より寄贈)を、土間ホール(通称「胎内空間」)に所蔵。滞在中のゲストは自由にご覧いただけます。
ご希望の方には矢吹氏によるガイド付きアートツアー(要予約)もご案内可能です。プロジェクトの背景や地域との関係、作品の見方などを丁寧にひもとくオーダーメイドの内容で、より深く体験されたい方におすすめです。ご予約は当ウェブサイト「Contact」より承ります。アートと風景が静かに呼応する総領町で、感性が研ぎ澄まされるようなひとときを。
《なかつくに公園》へは、「OMOYA総領」から車で約20分です。