07 Mar
「OMOYA」という名前の由来―母屋に込めた思い―

「OMOYA」という名前は、日本語の「母屋(おもや)」からつけました。
「母屋」という言葉は、
もしかすると初めて聞く方もいらっしゃるかもしれません。
今では日常であまり使われることもなく、
なじみのない言葉になっているかもしれませんね。

母屋とは、昔の家で、
家族が集まって暮らすいちばん大切な建物のこと。
蔵や納屋、離れなどとは区別される、
家の中心となる建物です。

漢字で書くと「母屋」。
母の屋、と書きます。

どうして「父」ではなく「母」なのだろう。
そう疑問に思って、私なりに考えてみました。

性別も、
生まれた国も関係なく、
生きとし生けるものすべてに共通していることがあります。

人はみんな、
お母さんのお腹の中で育ち、
この世界に生まれてきます。

母の胎内はきっと、
人生でいちばん静かで、守られた場所。

だから昔の人は、
帰る家もそんなふうに安心できる場所であってほしい——
そんな願いを込めて、
「母」という字を使ったのではないか。

そんなふうに感じました。

この宿もまた、
訪れた人がふっと力を抜き、
思わず「ただいま」と言いたくなるような、
そんな場所でありたいと思っています。

OMOYA総領の吹き抜けのリビングは、
母の胎内をイメージして空間をデザインしました。

三百年以上の歴史をそのまま宿す柱や梁、桁は、
まるで母体のように空間を支えています。

中央に灯る照明は、
国際的環境芸術家の
故八木マリヨ氏がデザインした「nahwa」。

縄からインスピレーションを得て、
「万物はすべて螺旋の動きにある」という
「縄ロジー」の思想から生まれた光です。

それはまるで、
母と子をつなぐへその緒のように、
空間の中心で静かに揺れています。

この場所に身をゆだねると、
生まれる前、母の胎内にいたときの記憶や、
もっと遠く、
連綿とつながるDNAの奥にある
先祖の記憶へとつながっていくような気がします。

そして、十字の窓。

メキシコの建築家
Luis Barragán
の自邸に着想を得てデザインしました。
全開口するこの窓は、
世界へとつながる子宮口のような存在です。

ここで少し休み、
静かに力を取り戻し、
また新しい一歩を踏み出していく。
まるで、
もう一度この世界に生まれていくように。

世界中の人にも訪れてほしいという思いから、
名前はローマ字で「OMOYA」としました。

そして「総領」という、
この土地の名前も添えています。

この家は、父が生まれ育った家でもあり、
私にとって家族のルーツともいえる場所です。

その名には、
これまでこの土地を守り続けてきた
総領の皆さんへの感謝の気持ちも込めています。

総領という名前を
世界の人たちにも知ってもらいたい。
そして地元の皆さんにも、
第二の家のように
気軽に帰ってきてもらえたらうれしい。

そうした思いから、
この場所を 「OMOYA総領」 と名付けました。